翔の会

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[リレーコラム] VOL.034

降り方を教えてください

おーらい 課長

 蔵座 栄治(ぞうざ えいじ)

 「上昇気流から降りた人たちが安心して絶望できる場所」、「昇る人生から、降りる人生」どこか引っかかる言葉です。知るひとぞ知る、北海道浦河町の『べてるの家』の紹介で出てくる言葉です。これらのフレーズに、旅心をくすぐられて、急遽現地へ行ってみる事にしました。
  精神、発達等の障害、様々な弱さを抱えた人が、暮らしやすさを模索した30年、苦しさから脱するための「自分研究」が他人に役に立ち、それが「当事者研究」となり、大切な柱の活動となっています。
  精神保健福祉士・ソーシャルワーカーの名刺を下さったスタッフが車を走らせ街や施設の案内してくれました。途中で「自分が回転しだしたらごめんなさいね、疲れると体を回転させてしまうんです」と、彼も病の当事者でした。「へ?あそうですか?そんな時は僕も一緒に回らせていただきます」などと自分でも意味の分からない、おかしな返答をしながら、ケアする側、される側の垣根が曖昧な所に、なぜか居心地の良さを感じました。この感覚は以前にも体験したことがあります。

 今から22年ほど前、鬼瓦に勤めて1年目、自閉症のm君と一緒に市役所に行った時でした。エレベーターが到着した際の「チーン」というベル音に彼がベストタイミングで発したTV番組のフレーズ「ターイムショック!」という一言。乗り合わせた見知らぬ人同士が笑いの渦に巻き込まれました。この仕事が自分にとってどんな意味があるのか悩んでいた壁が、ここで一つ吹っ切れた感じがありました。偶然に出会ってすれ違う人たちを一瞬にして笑いでつなげる物、人が生きづらい社会の構造は何かおかしいよというメッセージをもらった気がしました。自分勝手な言い方ですが僕が彼と無関係ではないと思えた瞬間でした。 
 その後見て来た高齢者の世界では、穏やかに死を迎えたお年寄りから、若い時、現役の時の自分こそが自分自身だと自負して、弱さ、病い、老い、死を見ないようにする、遠ざける、価値観や生き方は、息詰まる事を教えてもらいました人としての「もろさや弱さ」は、生き方、価値観、暮らし方を豊かにする鍵だという事が本当の真実であると思います。
  昇り詰めていく生き方だけではなく、降りていく生き方のパワーをもっと知りたい、今年もクリスマスを迎えます、世の中の暗闇と不完全な人の世界に、降りてきてくださった神の御子をお祝いするクリスマス。降りていく生き方の深さをもっと知りたいと思います。 

 思いがけず、再び翔の会で皆さんとお仕事させていただける事を、心から感謝しています。今後ともよろしくお願いいたします。メリークリスマス&ハッピーニューイヤー。


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