翔の会

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[リレーコラム] VOL.038

あの時の言葉

特別養護老人ホーム ゆるり 主任

松原 彰容司(まつばら あきよし)


 私事ですが、この4月で法人に入り20年目になりました。この間に、結婚し子供も2人授かり、長女もこの春より中学生になりました。

 この20年の間にメンバーさんや入居者さん、その家族、職員や妻から色々忘れられない言葉を頂きました。失敗した時のかけてもらった言葉、辛いときに掛けて頂いた言葉・・・。どれもとても大事なものでかけがえのない物です。

 その中でも一番印象に残っている言葉があります。それは今から10年以上前、自分が水平線に勤めていた時、あるメンバーさんからかけてもらった言葉です。

 その方は自分が前年度まで担当をしていたのですが、進行性の障がいの為、水平線から離れなくてはいけない状況にありました。いよいよ、そのメンバーさんがこの住み慣れた茅ヶ崎の地から遠い他県の病院へ転院する直前のある日「松原さん、自分が死んだら化けて出るからね!」と言われた事がありました。自分はその言葉を聞いた時に「あ~やっぱり住み慣れたこの茅ヶ崎から離れる支援しかできなく自分の事を恨んでるんだな・・・」とすごく申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

 しかし、あまりにも唐突な言葉だった為に「なんで、化けて出るんですか?」と聞き返したのです。そうしたらそのメンバーさんは「だって自分の為に色々やってくれて、化けて出てもそのお礼を言いたいんだよ」と笑って言って下さいました。その言葉を聞いたときに、その方に対して支援らしい支援もちゃんとできていない未熟な自分に「化けて出る」なんてそんな最高な言葉をかけてもらい、もったいない気持ちでいっぱいでした。自分自身身に余る言葉だった為「そんなに良い援助なんて出来てませんよ」と聞き返したところ、その方は本当に何気ない内容まで覚えていてくださり、「それが嬉しかったんだよ」とおしゃっていただきました。それまでは支援や援助と言葉ではわかっていたつもりでしたが、その言葉を聞いて、何気ない事を行う事もその方にとって支援や援助なんだな。と改めて気付かせていただきました。

 残念ながらその方は数年前にお亡くなりになってしまいましたが、未だに待っているのですが「化けて」出てきてはくれません。自分は今後この仕事を続けていく中でこの言葉を大事にし、そのメンバーさんが「化けて」出てくれるのを首を長くして待ちたいと思います。




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